31 1月 2019

気軽に住める住まいの準備

「芦辺浦を人と人の交差点にする」

このおもいで、地元の仲間と去年「たちまち」という活動を始めて1年余りがたちました。この1年間、これからこのまち、社会はどうなっていくのか、どうあるべきなのかを考え、多くの人と話をしました。まだ具体的には活動がカタチになっているわけではありませんが、そのプロセスによって地元の人たちを中心に「何かが変わる」という感覚を少しずつですが共有することができていると感じています。

そんな中、2月9日には「たちまち」と壱岐市で空家の活用等に関する連携協定を結ぶこととなりました。これを機に去年より空家を改修をしていた「たちまちの拠点」をオープンすることになりました。ここは子どもたちが気軽に寄れる場所として、また移住の際の相談所としても機能する場所になります。3月には拠点に併設される、みなとやゲストハウスの食堂もオープンします。

 

そして、もう一つ動き始めたプロジェクトがわたしたちが手がけている賃貸住宅計画です。「たちまち」の活動を行う中で、(単純ですが)まちには人が必要であることを改めて感じました。ここに住んでいる人に、島外の多様な価値観を持っている人が混ざり合うことで、より大きな力になっていくこと、(わたしたちの生活も楽しくなっていくことも!)を知りました。この場所で生まれ育ち、今は島外にいる人も、旅の途中でここにふらっと寄った人も、信頼できる人がそこにいることが、ここで生きていくきっかけになると思います。気軽にここに住んでみて人と混ざり合うことが、この島に住む一歩になる。「気軽に住める住まいの準備」が必要であることを強く感じるようになりました。

 

単身者4人分の住まいという小さな計画ですが、敷地は芦辺浦の入口ともいえる場所でここから風景を変えていく、という思いで計画しました。海に突き出た100年以上前から何も変わっていない石積みの上にこの敷地はあります。そこはかつてイワシの加工場として人々が働き、賑わっていた場所。その場所に人の気配を再び取り戻すこと。これからまちと社会が変わる可能性のようなものを、少しでも感じられるものになれば、という思いです。

潮の満ち引きや風の音、自然のリズムや静けさを感じながら、シンプルな生活ができる住まいをつくります。今は4人分の住宅という小さな計画ですが、人の存在がこの場所を活性化し、感情や感覚を伴った新しい風景となることを願っています。

 

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