記憶を継ぐ家

畑が広がる風景の中に長い時間大切にされてきた民家があった。当初はその民家を全面的に改修する方向で検討したが、基礎の補強、温熱環境の向上等、改修では難しい問題が出てきたため、新築の計画へとシフトした。複雑に組まれた既存の古民家の美しい小屋梁は新しい住宅のリビングに活用された。現代の住宅にはない迫力と手の感覚が残るやさしい空間となった。ゆとりのある南側の軒下空間は夏は強い日差しを遮り、冬には日差しを楽しむ場として機能する。玄関とポーチの土間には色付きモルタルを使用した玉砂利洗い出し舗装を施した。玄関ホールの目隠し格子は既存の住宅のものを補修し活用した。