壱岐島に建つ菓子店とヨガスタジオの計画。
比較的交通量が多い前面道路と3方を林に囲われた敷地で、店舗、厨房、ヨガスタジオと駐車場が求められた。建物は木造の平屋建てとし、いかにシンプルな空間構成でこの敷地に静けさのある空間を創出できるかを考えた。
具体的には店舗棟とヨガ棟は別棟とし、その間をレンガ舗装のテラスでつなぐ構成としている。店舗棟とヨガ棟の間からは奥の緑が見通せることで来客者を敷地の奥まで誘導する。長く窓のないファサードは杉板張りとし、周囲の環境から突出することなく、時間の経過とともに愛着をもたれる店舗となることを意図している。道路に対して斜めに振られた配置とすることで、前面道路との距離感を確保し、また駐車場を確保しながら敷地奥側に余白を残すことを可能にしている。この場所は将来果樹や野菜などの菓子の素材を育てる畑として、また来客者の居場所としても機能していく。
ヨガ棟の室内は風が吹き抜けるおおらかな空間とし、店舗棟の室内では優しい色合いの素材を選定した。周囲の林も室内からは豊かな風景として感じられるよう適切な窓の配置とサイズを検討した。
静かな環境とつくり手の情熱で、時間を経てたくさんの人にとって大切な風景になるよう願っている。
Photo : YASHIRO PHOTO OFFICE