既存の保育所に隣接する壱岐市立幼保連携型認定こども園です。既存の保育所は0歳児から2歳児までの園としてそのまま利用され、今回新築された園は3歳から5歳までの園児が利用します。このこども園を計画するにあたり大切にしたことは、子どもたちが自由に園舎内外を走り回れることです。子ども限られた敷地の中でできるだけ園舎をコンパクトにして園庭を確保すること、日常的には使われないことが多い遊戯室を開放し、屋内広場として日常的に子どもたちが利用できる場とすること。そして園庭、屋内広場、保育室、職員室が相互に見通せることで、先生にとっても園児にとっても安心な状況をつくることができ、子ども自身の選択の自由を得ることができます。園舎内外を子どもが自由に動き回れることで、単調でない、発見や出来事にあふれる園になります。わたしたちは子どもたちが自分で選択して、自由に活動できる状況をつくりだすことを大切にしました。
アートディレクションとサイン計画はブルームーンデザインの中川たくまさん。クラスルームサインは、壁面を活かしながら子どもたちの遊具や、発達の支援も行えるようにデザインされています。「つき組」は、積み木を埋め込んだり、外すことで、月の移ろいや潮の満ち引きを。「にじ組」は大きさ、長さ、色の順に並べる体験を通して、漸次性を。「そら組」は、歯車に近い不定形の雲を組み合わせて、形態の変動の学びを。「ほし組」は、星と星をつないで星座を作ったり、 美しい壱岐の空に輝く星座にも関心を持ってもらうように。製作は、奥日田の森深い場所で木のおもちゃを作る『おひさまとかぜ』の折居さんご夫婦。随所に手がかりと、子どもたちへの深い愛情を感じるものになりました。
園庭の遊具はアーティストの牛嶋さん、オーギさんの手によるものです。子どもたちにとって、毎日が楽しくなるような、土地とのつながりを感じれるような遊具にと。出てきたアイディアは壱岐島名産でもある「ウニ」。このウニタワーに上ると4m高い位置にある保育所の園庭と視覚的にもつながることができます。存在感あるここだけの遊具は、子どもたちにとって、大人になってもきっと記憶に残るものになるでしょう。